北九州を味わい尽くす「旦過市場」は、令和の今でも昭和を感じられるレトロな空間でした!

今回紹介する北九州・小倉にある「旦過市場」は、正にそんな人の温かさを感じて交流を楽しめる素敵な市場です。ぜひコロナが落ち着いたら一度足を運んでみて下さい。
この記事を書いたサラダボウラー

〈目次〉
旦過市場とは

北九州市小倉北区の街中を歩いていると突然訪れる、昭和感溢れる昔ながらの商店街。旦過市場は昭和30年代から続く長い歴史を誇っており、当時のままの風情ある長屋式の建物が、裸電球の柔らかい明かりに照らされています。
全長180メートルほどのメイン通りと、その通りから枝分かれした路地の中に、鮮魚店、青果店、惣菜屋などの120以上のお店が立ち並び、対面して気さくな会話をしながら買い物を楽しむことが出来ます。
旦過市場の特徴
旦過市場はコロナ禍になる前までは福岡県内のみならず県外の観光客、更には海外の観光客からも大きな注目を集めていて、常に多くのお客さんでいっぱいでした。
ではどんな魅力があって、旦過市場に多くの観光客が集まっていたのでしょうか。旦過市場の特徴をいくつか紹介します。
旦過市場は「北九州の台所」!

旦過市場は「北九州の台所」と呼ばれています。
バラエティ豊かな品々が所狭しと並んでいる旦過市場では、海産物やお惣菜など北九州産の新鮮な素材がたくさん揃っています。
旦過市場が「北九州の台所」と呼ばれる最大の理由は、地元の住民に喜ばれる品々を揃えているから。観光客向けの商品をたくさん置いている訳ではなく、あくまで地元の方に喜んでもらう為の市場なので、鮮度を第一に考えた商品を安く販売しています。
実際に筆者の北九州在住の友人も、普段の買い物で旦過市場に行くと言ってました。スーパーに行くよりも安かったり品揃えが豊富だったりするみたいです。
THE昭和なレトロ空間がインスタ映え!

冒頭からお伝えしている通り、旦過市場には長い歴史がありその雰囲気は「THE昭和」です。長屋式の商店やバラック、お店の人達の活気で溢れるメイン通りは別の時代にタイムリープしてきたかと思うほどに別世界。
そんなレトロさをカメラで撮影すると映画のワンシーンのようなインスタ映え写真を撮ることが出来ます。
大学と連携して生み出された様々な企画・商品!
旦過市場の特徴の一つとして、「共存共栄」を掲げていることも挙げられます。
これは地元のスーパーや、市場外の商店、加えて地元の大学と共に北九州を盛り上げていきたい、という意味合いももっています。
市場から目と鼻の先にある北九州市立大学とコンサルタント契約を結び、共同で行う地域貢献活動の目玉と言えるのが「大學堂」です。
本記事の後半で詳しく紹介しますが、「大學堂」は学生達と市場が共同経営で運営しており、人気商品の「大學丼」も学生のアイデアから生まれています。
大學堂以外にも市場内の空き店舗をライブステージやセミナー会場に活用するなど、学生と交流し積極的に意見を取り入れ、トレンドを捉えて様々な企画や商品を売り出しているのが、とても好印象ですね。
旦過市場に行ったら外せないおすすめ5選
ここからは実際に旦過市場に行った際に何を買うのがおすすめなのかを紹介していきます。
筆者が事前に気になったもの、現地で目を惹かれたもの、市場の常連さんがおすすめしてくれたものなど、様々な観点から厳選したので、これらは外さずにチェックしておきましょうね。
おすすめ1.「浜田水産」の旬な海産物

旦過市場を進んでいると必ず耳に入ってくる、女性の元気な呼び込み声。目を向けると「浜田水産」というお店があります。
北九州産の活きの良い魚と玄界灘で獲れた珍しい魚が立ち並んでいます。お店の方に話を聞くと山口・萩や玄界灘など長崎方面からも鮮魚を取り寄せているそうで、普段スーパーなどでは見ることのない魚が地元の方に喜ばれています。
筆者も大學丼の具材としてマグロなどのお刺身を購入。色味がとても綺麗でその鮮度の良さが見て分かるものでした。
おすすめ2.「百年床 宇佐美商店」のぬかみそだき

小倉の郷土の味として広く知られている「ぬかみそだき」も旦過市場にはたくさん揃っています。
ぬかみそとは漬け物などを漬けるのに使用するぬかに塩をまぜ水で練った味噌で、栄養価の高さと優しく口の中に広がる味わいが地元の方に長く愛されています。
旦過市場内にはぬかみそだきのお店が数軒あり、各店舗で微妙に味が違うそうなので食べ比べをするのも面白そう。今回筆者は「宇佐美商店」さんにお世話になりました。
大學丼に少しだけ乗せて後はそのままその場で頂いちゃいました。
おすすめ3.「小倉かまぼこ」のカナッペ

旦過市場と言えば、なご当地品の一つが「カナッペ」です。
一般的にカナッペと言うとクラッカーの上に具材を盛りつけて食べるものを指しますが、旦過市場のカナッペは全く異なるものです。
大正時代に創業しロングセラーを続けている「小倉かまぼこ」さんが開発し、旦過市場の名物商品として販売しているカナッペは、ニンジン・タマネギなどの具材を魚のすり身に練り込み、それを食パンで巻いて揚げたもの。
外はサクッと揚げてあり中はホクホクでとても味わい深く、メディアなどにもよく取り上げられているので常に行列が出来ている一品です。
4.「三棒丸」の辛子明太子

浜田水産で買い物をしている時に地元の常連さん(を名乗る方)におすすめされたのが、「三棒丸さんの辛子明太子」です。
実際にお店に足を運んでみると、その理由がすぐに分かる立て看板がありました。大學丼に贅沢に明太子を乗せられるスプーン売り。
色合い・味共にご飯と最高にマッチする明太子をたんまり盛って大學丼が一気にゴージャスになりました。
筆者も大學丼の具材にチョイスしました。ご飯に乗せた明太子とは別に一粒頂きましたが、かなりツブツブが膨張していて口の中で潰れると一気に濃厚な旨味が広がってきました。これは絶対にご飯に合う、と確信。
5.知る人ぞ知る隠れ土産「黒瀬のスパイス」
地元の知り合いに、とあるお土産の存在を聞いていました。その名も「黒瀬のスパイス」。
「かしわ屋くろせ」というお店で売っていると聞いたので行ってみると、店頭にはなく、お店の方に聞くと奥の方から持ってきてくれました。
隠している訳では無い、とお店の方が仰っていましたが、知らない人は絶対に見つけられない場所に置いてあったので、地元の方向けに売っているのだろうな~と推測。
購入時は味見が出来ませんでしたので後日自宅にて頂いてみると、いくつかのスパイスの良いとこどりをしたような味わい。「万能調味料」とも呼べる最高のお土産になりました。
今、旦過市場で話題沸騰!オリジナル丼が作れる「大學堂」!

この記事の中でちょこちょこ名前が出ている「大學堂」について、そろそろ詳しく紹介してほしいと思っていますよね。お待ちかねの時間です。
旦過市場メイン通りを進んでいくと、ちょうど中心辺りに佇んでいる食堂風の建物。「大學堂」と大きく書かれているこの建物が、近年旦過市場の目玉スポットとして人気を博しています。
大學堂は北九州市立大学の人類学ゼミ生と市場の人が共同で運営しており、基本的には買物中の休憩所のようなカフェスタイルのお店です。
そんな大學堂が注目された最大の理由が、一学生の意見から生まれたオリジナル丼「大學丼」。お店で白飯をよそったどんぶりをもらい、旦過市場内でお好みの具材を購入して一緒に食べることが出来るというユニークなアイデア商品です。
発売開始してすぐに注目を集め、メディア露出も増えた結果旦過市場の目玉として認識されるようになりました。
大學丼の魅力は自分だけのオリジナル丼が作れることだけでなく、その作成道中で多くのお店の人との交流が出来る点にあります。
「観光客と市場の方との交流の機会を増やしたい」という学生さんの想いが具現化されていて素晴らしいですよね。
紹介したおすすめ具材で実際に「大學丼」を作ってみました!

筆者も実際に大學丼作りに挑戦してみました。
最初に訪れた浜田水産さんの鮮度抜群のお刺身、三棒丸さんの辛子明太子、そしてぬかみそづけ。シンプルイズベストなオリジナル丼です。(見栄え重視でぬかみそだきは別皿に移しました。)
作った大學丼は大學堂店内で食べることが出来ます。さあ、いざ実食。
マグロやぬかみそだきがご飯をどんどん食べ進ませてくれます。箸が止まらない。ご飯と混ざっている辛子明太子が時折顔を出して味わいにアクセントを付けてくれます。うん、こりゃ最高だ。
ちなみに市場の人に話を聞くと、どんな大學丼を作っているかこっそり確認しているそうです。筆者は大學丼作りのセンスがある、と思ったので聞いてみると、一言「定番やね。笑」でした。
旦過市場が無くなるという噂が流れているらしい
ここ1,2年で「旦過市場が無くなる」という噂を耳にしたので少し調べてみたところ、土地区画整理などが検討されていました。
計画では過去の河川氾濫被害を受けて、川上にせり出している市場エリアを中心に再開発を行い、開発後には複合商業施設や2階建てのお店などが出来るようです。
災害対策という一面や便利になるのは良いことでもありますが、個人的には今のレトロでノスタルジックな雰囲気も残してほしいな、とも思います。
2021年中には着工が開始し、2027年くらいに完成するそうなので、楽しみにしておきましょう。